公開日: 2025年5月11日
役員報酬と賞与の税務上の注意点
法人を経営されている方にとって、役員報酬の税務ルールを正しく理解することは非常に重要です。会社の役員として給与や賞与を受け取る際、税務上のルールを理解しておくことで、適切な節税対策が可能になります。特に、事業年度の途中で役員に就任した場合や、従業員から役員になった場合の給与・賞与の扱いは複雑になることがあります。ここでは、役員報酬の基本と賞与を支払う際の注意点について詳しく解説します。
定期同額給与とは?役員報酬の基本ルール
役員報酬の基本となるのが「定期同額給与」です。これは原則として、定時株主総会から次の定時株主総会までの各月の給与が同額であることを指します。
重要なポイント:もし、この定期同額給与のルールから外れる部分があれば、その部分は所得税法上は給与として扱われるものの、会社の経費としては認められません。
事業年度の途中で役員に就任した場合の注意点
従業員として、または別の会社で働いていた方が事業年度の途中で役員に就任するケースは少なくありません。この時、役員報酬の支払い開始時期には注意が必要です。
支払い開始時期の重要性
- 役員に就任した直後の支給時期に役員報酬を支払わない場合のリスク
- その次の支給時期から支払い始めると、0円から増額したとみなされる可能性
- 0円と同額でない部分、つまり役員報酬の全額が会社の経費として認められなくなる恐れ
対策方法:
- 役員の選任を決議する臨時株主総会などの際に、役員報酬の金額も一緒に決議する
- 就任直後の支給時期から役員報酬を支払う必要がある
役員への賞与は支払えるのか?
従業員であった方が役員に就任した後、従業員時代に約束されていた時期に賞与を支払いたいと考えるケースもあるでしょう。しかし、役員に就任した後に支払われる賞与は、定期同額給与には当たらないため、原則として会社の経費としては認められません。
ただし、「事前確定届出給与」の制度を利用すれば、役員への賞与も会社の経費として認められます。
事前確定届出給与とは
- 事前に決めた時期に確定した金額の賞与を役員に支払うことを決定し、税務署に届け出ているもの
- 届出書に記載された時期と金額が完全に一致した賞与が役員に支払われた場合に限り、会社の経費として認められる
税務署への届出期限
- 通常の場合:定時株主総会で決議した後1か月以内、または事業年度開始から4か月以内のどちらか早い時期まで
- 途中就任の場合の特例:事業年度の途中で新たに役員に就任した場合は、就任した日から1か月以内に税務署に届け出る必要がある
結論:
- この手続きを行っておけば、役員に就任した後に賞与を支払っても、会社の経費として認められる
- 事前の計画と適切な届出が重要
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