広島市 経営者必見!融資戦略マスターガイド〈応用編〉
税理士が教える債務者区分・格付け改善ノウハウ
最良の融資戦略を行うためのステップ
- 融資を受けるために必要なポイントについての理解
- 銀行がどのような企業に貸したいかを理解する
- 金融機関の人間がどの部分を見て融資を判断しているかを理解する
- 融資が受けにくくなっている主要な原因がわかる
- 会社現況の把握、確認
- 自社の債務者区分上の位置付けを把握する
- あとどれくらい借りられそうか?今のキャッシュでどのくらいやりくりできるのか?などを予測する
- 重点的に対策すべきポイントの理解
- 債務者区分を引き上げるために必要なことが把握できている
- 個々の問題についてのどのような手を打つべきか対策の内容がわかっている
- 将来的に目指すべき目標の決定と作業
- 次の決算までに達成する目標、3年後、5年後に達成すべき目標が設定できる
- 目標に沿った形で毎日、毎月の記帳を行える
- 記帳の結果を毎月の資金繰りや月次の決算の中へ反映、実践することができる
- 銀行の理解、支援の取付け
- 対策の進捗や結果について、金融機関と定期的に協議する(半年〜1年に1回程度)
- 協議は決算書、資金繰り表、年度計画表などに基づいて行う
- 最終目標
- 債務者区分の2ランク以上のアップ
- 折返し融資の安定的な獲得
- 年に1度以上の長期資金の獲得または返済期間10年以内の長期資金の獲得
債務者区分を理解する
融資を受けている企業は、金融検査マニュアルに基づいて6つのランクに分類されます
各金融機関は、債務者区分をさらに細分化した「格付け」を行います。同じ決算書でも金融機関によって格付けが異なる場合があります。広島市内の金融機関も同様のシステムを採用しています。
地銀・信用金庫クラスでも融資可能なのは「要注意先」までです。要注意先より下の区分には基本的に融資を受けられません。
正常先
融資可能業績が良好で、財務内容に特段の問題がない債務者
- 赤字なし
- 債務超過なし
- 健全な財務状態
要注意先
融資可能(条件付き)業績が低調、または返済に軽微な遅滞がある債務者
- 赤字企業
- 軽度の債務超過
- 業績低調な企業
要管理先
融資困難要注意先よりさらに業績に問題がある債務者
- 元本・利息を3ヶ月以上延滞
- リスケジュール実施中
- 返済条件緩和を受けている
破綻懸念先
融資不可深刻な経営難で今後の倒産・事業継続困難が懸念される債務者
- 赤字かつ債務超過
- 長期の延滞あり
- 経営難が深刻
実質破綻先
融資不可法的破綻はないが、実質的に経営が破綻している債務者
- 極度の資金繰り悪化
- 短期での資金繰り困難
- 実質的な経営破綻状態
破綻先
融資不可法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者
- 破産、清算手続き中
- 取引停止処分
- 完全な資金繰り破綻
💡 なぜ要管理先以下には融資しないのか?
理由は「引当金」の存在にあります。金融機関は貸倒れリスクに備えて引当金を積む必要があり、債務者区分が下がるほど引当率が高くなります。
要管理先以下では高い引当率により採算が合わなくなるため、実質的に融資が困難となります。広島市内の金融機関においても同様の判断基準が適用されています。
決算書の危険なサイン
症状① 当期の決算書が赤字である
注意度⭐⭐たとえ赤字であっても、特別な赤字や一過性のものである場合には問題なしとされる場合があります。
プロパー融資ではなく日本政策金融公庫(広島支店)や広島県信用保証協会などの融資を積極的に利用する。赤字の原因が特別なものである場合や一過性のものである場合は、銀行に説明するとともに、決算書にもその内容を反映させる。
症状② 減価償却を行っていない
注意度⭐⭐金融機関では、減価償却額に不足がある場合には、これを適正な額に引き直した上で本来の会社の利益を計算します。
適正な減価償却を継続して行う。減価償却を年度によってしたり、しなかったりということは、利益操作とみなされるため融資対策上は禁物。
症状③ 社長が経営の内容を把握できていない
注意度⭐⭐「税理士に聞いてくれ」というのは、自分では何も知らないといっているも同然ですので、気をつけましょう。
融資を受ける前に、決算書の内容を十分に把握しておく。
症状④ 赤字が連続して2期以上である
注意度⭐⭐⭐赤字が2期以上に及んでいるような場合には、債務者区分はさらに引き下げられ、単純な1期だけの赤字と比較してもいっそう、融資を受けにくくなります。
中長期での経営改善計画を作成して、その内容について銀行の理解を求めるとともに、決算書もこの計画を反映させたものとする。
症状⑤ 貸借対照表の資本の部が債務超過である
注意度⭐⭐⭐⭐通常金融機関では、このような状態の企業に対して融資をしないどころか、状況によっては融資を回収されるかもしれない危険な状況です。
今後は利益を計上しながら徐々にマイナスをなくしていく。債務超過の解消のための最も手っ取り早い方法は増資(またはDES)。
症状⑥ 毎月の利益が出ていない
注意度⭐⭐⭐⭐企業が返済できる限度額は、税引後利益+減価償却額で計算されます。この利益を超えて返済は不可能であるため、この限度額より返済額が多くなる場合は融資が難しくなります。
役員報酬を減らして利益を捻出する。また、営業利益だけでも黒字にできないか検討する。
症状⑦ 税金等の未払いがある
注意度⭐⭐⭐⭐特に保証協会付き融資や政府系金融機関の融資の場合には、ほぼ門前払いとなってしまいます。
融資を受ける前に税金などの未納がないか事前に確認する。融資を申し込む6ヶ月前までの税金の未納や支払いの遅れについてチェックする。
症状⑧ 融資の使い道に問題がある
注意度⭐⭐⭐⭐融資が赤字の補填や生活費への補充などにあてられてしまう場合には、問題がある。
融資はあくまでも事業用の資金として計画して利用する。
症状⑨ リスケジュールをしている
注意度⭐⭐⭐⭐リスケジュールを行った場合には債務者区分が要管理先となってしまいます。
日本政策金融公庫(広島支店)などは他行のリスケジュールを行なっている場合であっても、状況によっては追加融資をしてもらえる場合があるので、一度、相談してみるとよい。
症状⑩ 借入が多すぎる
注意度⭐⭐⭐⭐税引後利益+減価償却額を超えて返済することはできないため、借入が多すぎると新規の融資を受けにくくなります。
売上、利益の向上に努める。複数の短期借入れがある場合には、これを長期借入れに一本化することにより、1回あたりの返済額が少なくなるため、資金繰りを楽にすることができる。広島市内の金融機関でも一本化の相談に応じる傾向があります。
症状⑪ 格付けや債務者区分のランクが低い
注意度⭐⭐⭐⭐債務者区分が低いと、その企業は融資を受けづらい。区分が要管理先まで低下している場合には、新規の融資を受けることが困難となります。
現在の自社の格付けや債務者区分を把握し、必要な項目についての対策を徹底する。債務者区分の改善に有効な項目を中心とした経営改善計画を作成し、金融機関の理解と協力を取り付ける。
すぐに使える緊急ランクアップ対策
今すぐ実践できる!債務者区分と格付けを改善する4つの方法
役員報酬の減額
即効性あり役員報酬が高すぎる場合には、減額して利益を改善する。
💰 得られる効果
- 会社の財務指標が改善される
- 個人所得の節税にもなる
- 両者にとってメリットが大きい
短期借入金を長期借入金に借り換える
効果的流動負債が減ると当座比率や流動比率などの財務指標が改善され、債務者区分や格付けが上がりやすくなります。
💰 得られる効果
- 財務指標(当座比率・流動比率)の改善
- 債務者区分・格付けのアップ
- 毎月の返済負担の軽減
🔧 実施方法
広島県信用保証協会の「借換保証制度」を利用した一本化が有効
※金融機関によってはリスケジュールとみなされる場合があるため、事前確認が必要
創立費、開業費の計上
簡単繰延資産として償却することで、利益を残しやすくします。
💰 得られる効果
- 決算書上の利益が改善
- 簡単に実施できる
- 経理処理の工夫で実現可能
営業外収益の売上げへの計上
おすすめ営業外収益として計上しているものを売上げとして計上できれば、その分営業利益が増えるため債務者区分や格付けを改善することができます。
💰 得られる効果
- 営業利益の増加
- 債務者区分・格付けの改善
- 定款変更で正式に実施可能
🔧 実施方法
特に不動産賃貸収入の場合:
- 不動産関連業務を行っている場合:問題なく売上計上可能
- 副業的な場合:定款に「不動産の賃貸・管理業務」を追加で本業化
💡 重要ポイント
これらの対策は決算前に実施することが重要です。広島市内の企業様も早めの準備で、より効果的な結果が期待できます。
代表的な融資制度
日本政策金融公庫(広島支店)の使いやすい代表的な融資3選
マル経融資
無担保・無保証人広島商工会議所や商工会の推薦を受けた企業が使うことのできる制度
必要条件
- 商工会・商工会議所の推薦
- 小規模事業者であること
第三者保証人を不要とする融資
特例制度税務申告を2期以上行っていて、債務超過でない場合などに利用できる制度
必要条件
- 償却前経常利益が2期連続して赤字でないこと
- 直前期において債務超過となっていないこと など
生活衛生改善資金
無担保・無保証人生活衛生関係の事業(飲食店など)を営む事業者向けの制度
必要条件
- 生活衛生同業組合等の推薦
- 常時使用する従業員5人以下
- 生活衛生関係事業(飲食店等)
広島県信用保証協会の使いやすい代表的な融資3選
小口零細企業融資
無担保・無保証人広島の小規模事業者向けの制度
必要条件
- 従業員数20人以下(製造業等)
- 従業員数5人以下(卸売・小売・サービス業)
創業融資
無担保・無保証人広島で開業して間もない事業者向けの制度
必要条件
- 開業後5年未満の事業者
- 事業計画書の提出
セーフティネット融資
一般融資一時的に経営の安定に支障を生じている事業者向けの制度
必要条件
- 業況の悪化している業種に属する事業者
- 自然災害等により、影響を受ける事業者
📝 重要な注意点
これらの融資制度は条件や要件が変更される場合があります。必ず最新の情報を各機関のウェブサイトや窓口で確認してください。
定量的分析で配点の高い6つの項目
金融機関が融資審査で特に重視する財務指標
自己資本額
企業の資本金と利益剰余金の合計額
自己資本比率
総資産に対する自己資本の割合
ギアリング比率
自己資本に対する借入金の比率
債務償還年数
有利子負債を返済するのに必要な年数
キャッシュフロー
営業活動による現金の流れ
ICR
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息支払能力)
💡 これらの指標の改善が重要な理由
広島の金融機関も含め、金融機関はこれらの指標を組み合わせて企業の返済能力と財務健全性を総合的に評価します。特に以下の点が重視されます:
- 自己資本比率とギアリング比率で財務の安定性を判断
- 債務償還年数とキャッシュフローで返済能力を評価
- ICRで短期的な利息支払い能力をチェック
🎯 これらの指標を改善することで、債務者区分や格付けが向上し、融資を受けやすくなります。当事務所では、これらの財務指標を改善するためのコンサルティングも行っています。
新井会計 新井航税理士事務所
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融資戦略・資金調達に強い税理士事務所